新型インフルエンザについて(1)
昨今,新型インフルエンザ急増で,情報は錯乱し,
中には,えっ!?と驚くような,医学的根拠のない嘘や怪しい情報が流布。
そこで,UpToDate「Prevention of pandemic H1N1 influenza (‘swine influenza’)」なども参考に,新型インフルエンザに関する情報をまとめてみた。
ただし具体的な統計的数値は,ほぼ示せておらず,その点御容赦願いたい。
- 予防接種って,効果あるの?
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Although the efficacy of vaccination against pandemic H1N1 influenza A has not been proven, a study that modeled the effectiveness and cost-effectiveness of vaccination suggested that vaccinating 40 percent of the population of a large US city (population 8.3 million) with a vaccine that is 75 percent effective in November 2009 would avert 1468 deaths, gain 49,422 quality-adjusted life-years, and save $302 million.
感染する・しないはさておき,死に至ることは少なくなる模様。
ワクチンの副作用頻度を考慮すれば,ワクチンを接種する機会に恵まれれば,接種した方が良いと思われる。
- タミフルの予防内服って,効果あるの?
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For patients in whom prophylaxis for pandemic H1N1 influenza A virus infection is indicated, we recommend either oseltamivir or zanamivir (Grade 1B)
新型インフルエンザに対するタミフル,リレンザの予防内服は,エビデンスレベル1B。「使用が勧められる」ことであり,一定の効果はある模様
- いつまで,他人に感染させうるの?
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WebMD「Kids Shed H1N1 Virus 6 Days After Fever」によれば,発熱後1-13日後(平均発熱後6日後まで)ウイルスを排出する。これは解熱後,数日~最大1週間ほど感染能力を引き続き有することを示している。
新型インフルエンザに罹患した人は,2週間自宅安静するのが良さそうだが,そんな余裕が日本にあるだろうか…。
- マスクって,効果あるの?
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The effectiveness of face masks and N95 respirators in preventing transmission of pandemic H1N1 influenza A is not known. However, in a randomized trial in which 446 nurses in hospital settings were randomly assigned to use either face masks or fit-tested N95 respirators when caring for patients with febrile respiratory illness during influenza season, face masks were non-inferior to N95 respirators for the prevention of seasonal influenza; laboratory-confirmed influenza infection occurred in 24 percent of individuals who used face masks and 23 percent of individuals who used N95 respirators.
マスクの効果は,正確には分かっていない。
効果があるとかないとか論文は散発的に出されているものの,冷静に判断すれば,こう言わざるを得ないのが現状。「効果がある/ない」と現時点で断言している情報源は,恐らく根拠無く,自らの推測で結論づけている(医療は個人の推測で行うべきではない)。
UpToDateによれば,季節型インフルエンザに関する研究では,N95マスクと普通のマスクに有意差はないらしい。マスクを付けるのであれば,安価な普通の不織布マスクで十分なのかも知れない。この研究結果から,
「マスクの隙間から飛沫が入り,普通のマスクは意味がない」
という情報は,正しくない可能性がある (N95をフィット装着しても,有意差なし)
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ところでマスクの目の細かさより,飛沫・飛沫核粒子が小さいとして,
「マスクは効果がない」というとんでもない情報を散見する
非メディカルの理論家の方々が御推察されて,書かれたのだろうか。
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一応これを書いた方も御存知のことだろうと承知の上で書かせていただくが,
医学的・統計学的根拠に基づかない個人の推察は,
もはや何の価値も有さないし,場合によってはむしろ有害である。
現在の医療は,医学的・統計学的根拠に基づいて行われていることに留意すべきである。
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何度も繰り返すが,マスクが感染防止に影響するか否か,大多数が納得する根拠は未だ提示されていないはずである。
マスクが感染防御に効果があるかどうかは不明
これが恐らく唯一の正しい答えである。
- アルコール消毒って,効果あるの?
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これに関する医学的記述は少ないが,総じてエンベロープを有するインフルエンザウイルスは,アルコール消毒で失活するだろう。だがアルコール消毒が,感染防止に役立つかどうかは不明である。
(手の表面のウイルスを殺すことと,感染を防止することは,全く別であることに留意する必要がある)
- うがいって,効果あるの?
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「ウイルスは20分で粘膜から侵入するので,インフルエンザには無効」「うがいは常在菌のバランスを崩し,むしろマイナス」と言う意見があるが,これは根拠のない個人意見であることに留意すべきである。
うがいが感染防御に効果があるかどうかは不明
これが恐らく唯一の正しい答えである。
- 予防接種,タミフル予防内服は,重症化予防・感染予防に一定の効果があるらしい
- 一方で,手洗い,うがいが,感染予防に寄与するかどうかは不明
これが恐らく現時点で言える精一杯の情報であろう。
これ以上踏み込んで言うと,それはたちまち非客観的な,主観的意見となってしまう
もちろん個人的には,推察し,それを実践している。
マスクには,口腔・喉頭・咽頭内乾燥を防ぎ
また飛沫飛散速度,飛沫飛散距離,飛沫飛散総量を低減する作用があり
マスクはある一定の効果があるに違いない。
うがいは効果がないかも知れないけど,頻回の飲料摂取はやはり
口腔・喉頭・咽頭内乾燥を防ぎ,感染防御に一定の効果があるに違いない,と。
しかし,それは個人的意見として,あくまで述べるべきであって,
間違っても,インフルエンザにアルコールは無力だとか,
インフルエンザにマスクは効果がないだとか,
医学的・統計学的根拠に基づかない,個人の推察に基づく情報を流布することは,
社会的に悪影響を及ぼしかねない
その大半は,非メディカルの妄想と勝手な推察によるものだと信じたいが
もしそれをメディカルないしコメディカルが行っていれば,それはもはや罪である。

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